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義肢装具士 鎌田 朋 × サンダル職人

高校卒業後はイギリスに留学することを漠然と決めていた鎌田さん。憧れていた職人の世界と靴の学校が結びつき、帰国後は義肢装具士として活躍していた彼女がフルオーダーのサンダルに出会い、工房を構えるまでに至ったストーリーを聞かせていただきました。

「職人」の生き方に憧れて。

若い頃から職人に憧れがあって、高校で書いた論文でも職人を取り上げました。作家は自分の中にあるものを表現するのですが、職人には相手がいて、相手にとって使いやすいモノを作る生き方に共感したんです。そして進路を見据えていくなかでイギリスに「靴の学校」があることを知り、留学を決心。学校では工業靴の作り方を学び、自分の意思で皇室御用達の靴を作る工房を訪ねることで、対話しながら最高の靴を生み出す「bespoke」の世界に触れることができました。

医療靴(整形外科靴)の世界へ!

bespokeに触れる経験ができたのは良かったのですが、何十万円もする高級靴には違和感を覚えました。そんな時に市販の靴が履けない方のための 「医療靴」があることを知り、興味を持ったんです。イギリスの先生からは卒業後にドイツで学ぶことを勧められましたが、将来は日本で働くことを決めていた私は義足やコルセットを作る「義肢装具士」の専門学校に入ることにしました。3年間の学びで国家資格を取り、在学中から学びに行っていた医療靴の会社に就職しました。

通常の靴作りとは違う、医療靴の世界。

医療靴の世界はちょっと特殊で、注文はお客さまから直接受けるわけではなく、保険適用の関係でお医者さまから発注を受ける仕組みなんです。オーダーがあると病院に伺い、そこで初めてお客さま(患者さま)と出会い、院内で採寸を行い、仮合わせをして完成に至ります。市販の靴が履けないお客さまの足にぴったり合った靴を作る技術を得るまでは本当に必死でしたが、充実した毎日を過ごすことができました。その会社には、結婚を機に退職するまでお世話になりました。

新婚旅行で出会った「オーダーサンダル」。

新婚旅行で訪れたイタリア・カプリ島で、あるサンダル屋さんに出会いました。観光客を相手にしたお店だったのですが、気に入ったデザインを選ぶとその場で採寸をして、ぴったりのサンダルを作ってくれるんです。以前からずっと高価すぎるbespokeの靴とお客さまが気に入ったデザインにできない医療靴の中間ができたらと考えていた私は「これなら私が求めるモノづくりができるかもしれない!」と感じました。そして戸建てに引越したタイミングでオーダーメイドサンダルとベビーシューズの「jiu sandals」を立ち上げたんです。
この夏には京都に新しい工房を設け、あらたなスタートを切る予定です。

言葉にできない思いを、カタチに。

私が至福を感じるのは、お客さまと対話をしている時。お客さまがうまく言葉にできないけど「こうしてほしい!」と望まれていることに思いを巡らす瞬間に楽しさを感じます。また、自分の子育てを振り返ってみると、辛いことも多かった気がします。すっごく大変なのに、誰も評価してくれないし、誰も自分を見てくれない。そんな気持ちでした。だから、子育てを頑張る女性がサンダルを選んでいる時だけは、だれにも邪魔されずに自分のことだけを考えられる時間であればいいなと思っています。オーダーサンダルがきっかけとなって、まわりが私を使って楽しんでくれるようになりました。これからもじっくりと話をすることを大切に、職人としてモノづくりを続けていきたいと思っています。

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Profile / 鎌田 朋(かまだ とも)


高校卒業後、イギリスの靴学校に留学。
帰国後、足と靴の関係を勉強するために専門学校に3年間通う。
義肢装具士国家資格取得後、医療靴専門職として5年間働く。
結婚・出産を経て、「もっと気軽に足に合った履物を多くの方に履いてもらいたい」という昔からの目標を叶えるため、jiu sandals & baby shoesをスタートさせる。
頑張る女性を足元から応援したいという想いで、ご自身のお好きなデザインで、かつ歩きたくなるサンダルをオーダー製作。

サンダル工房
jiu sandals & baby shoes
京都府長岡京市奥海印寺坂ノ尻3-3